2011年2月7日月曜日

見張り所


近くまで来たんだからと、ぶらぶらとした体で皇居によってみた

桜田門からザクリザクリと砂利を踏んで、二重橋まで乗り込んだのだ

今日は朝から花曇り
排気ガスは遠くのほう

だけど、広い皇居の敷地はホコリで霞む

お巡りさん、なにやら片付けてる様なのでスルッと気軽に話しかけてみた

終わりっすか?

「ええ、四時までです、といっても普段も、ほら、入れるのはそこら辺までですけど」

と、立入禁止のロープの向こう五十メートル程を指さしながら愛想よく答えてくれた

はあ

「正月2日と天皇誕生日は一般公開しますけど」

ほーう

それにしても渋い見張り所ですね

ぼくは、なにげに気になっていた、交番のような、一人しか入れなさそうな、小さくてモダーンな石造りの建物について質問した

「はい、祝田町見張り所といいまして、昭和四年に造られました、造った職人さんが、例えばですね、二十歳ぐらいに造ったとしても、計算すると、えー、明治生まれになるんですね」

成る程、成る程

「造りもしっかりしていて、すきま風も入らない、御影石ですからね、夏も冬も快適なんです、コンクリではそうはいきゃしませン」
へぇーっ

「あそこの見張り所も古くって、ほら、デザインが違うんです、扉なんてアーチの形してるでしょ、洒落た造りです、あれは三宅町見張り所と云うんです」

遠くにポツンとある、丸い屋根の小屋を指さしながら目を細めた


ぼくは珍しく素直に感心して、指差す遠くを一緒に眺めて、ウンウンうなずいていた

いろんな事を教えてくれた

お巡りさん、説明していただいてありがとうございました

誇りを持って働いてる、そんなオーラを感じた

ありがとうございました
ぼくは軽く会釈して、笑顔でその場をお別れした

なんだか嬉しくて、気持ちの善い1日になったなあ


我が街に電車は到着
恵みの雨が降ってきたらしい

駅ナカで傘を持った人とすれ違う久しぶりの雨

小糠雨、濡れて帰ろう


…あのホコリっぽい砂利場の見張り所も、この雨に生き返ったような、そして、あの親切なお巡りさんとともに、ポツンとたたずんで、移ろう季節を見つめるんだろう

思い出しながら帰る

リュウスケ

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