2011年1月10日月曜日

たまげた〓

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男と女がいちゃついてる、と、云う事を除けば普通の病院の待ち合いだ
ひざ枕された男が点滴をぶら下げたまま最近食べたメシについて女に話す
男が食当たりで女はその付き添いみたいだ
猫なで声にもほどがある
そしてそのカップルに説明す看護師さんも半ばあきれてる

気が付かないのかね
ええ大人が、こんな場所で不謹慎だと、横目にオレは思った


妙な雰囲気の待ち合いでしばらく待たされてからオレはやっと奥へ通された

失礼します

嗚呼、センセ、妖怪みたいな顔だな

偏執的で頑固、そしてあわてんぼ
椅子に座るセンセの第一印象だ

不安な気分はつづく

二三の問答ののちオレは横に寝かされて、火傷した足をセンセに差し出した

軟膏を塗られる

『もう少しかな』とか、
『ガーゼ思ったより薄い』
『そーですね、センセ』とか、

センセとナースの会話が聞こえる
ひひひ、と笑ったような気もした

そんな会話を遠く聞いてるうちに、私、はからずも気分が悪くなってきたのである

嘔吐に襲われる
冷たい汗が吹き出して手足の末端がしびれる
お腹が痛くなって、意識が遠くなって、耳が聞こえなくなってきたのだ
明らかに血圧下がってる
なんでやろ
なんでやろ
うめく事しかできない

笑い話ではない


医療ミスで死ぬのだな、ああ残念だ
しかしなんでやろ

本当に恐怖した

横になって深呼吸!
落ち着いて落ち着いて!と、センセが云う

そんなこと申されますが、自分の身体がコントロールできないよ

真っ青なオレの顔をみて、さすがにあわてた妖怪センセ
看護師に指示る

車椅子に乗せられベッドへ運ばれる
そして、そのまま寝かされて点滴をブスッと打たれた


しばらく天井のシミをみながらウンウン唸っていたが、徐々に意識がしっかりしてくる

なんとか生きているようだ

センセが様子をみに来た時に、軟膏クスリがオレの身体に合わなかったのかどうなのか?
妖怪に問うてみた

『たまげたんですな』
パニック状態になって、よくある事です、と妖怪は一蹴

…ああたまげたのか
やけどに
と思ったけど、待て待て
ホントに死ぬかと思ったんだぜ

何か言おうと口をパクパクしてる隙に、センセはどこかへ行ってしまった

夜の病院は静かである
わたし、精神的に弱いのか、こんな事は初めてだ
情けない
瞳が濡れる

不の連鎖にはまり込み、もがいてももがいても浮かび上がらす、その闇から飛び出してきた弱い自分
突然『自分の知らない自分』に遭遇した時、人間はショックで死にそうになるのだな
パニックってこれか


やけどは大したことないのだ
センセの軟膏のおかげで痛みはほとんど感じない
トラウマに変わるだろう

すっかり落ち込んでしまった
点滴が終わったので看護師さんにペコりと小さく会釈してオレは寒い夜道をとぼとぼ帰った

たまげた…

リュウスケ

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開場19:00/開演19:30
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前売¥3,000/当日¥3,500
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【チケット取り扱い&入場順】(1)吉祥寺プラネットK店頭販売【0422-21-7767】No,001~No,050
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