日本橋を団体さんが渡って来る。
日差しは首都高速にさえぎられ、昼でもほの暗い。
水面はいつも緑色だ。
ふと思う。
江戸時代は団体さんなんて居なかったが、賑わいは今の時代よりあったと思う。
市が起ち、角に辻番、町娘に商売人。
お伊勢参りに旅立つ人も、ふと日本橋を振り返る。
往来はさまざまな人々が行き交い、それは華やかな様相だ。
歌舞伎の版画が流行り、錦絵、絵草紙を並べた店が軒をつらねる。
なぞの男、東州斎写楽もいつか己の才能が認められるはずだと背中を丸めて歩いていく。
彼にしたら歌麿なんぞ色を売りにした美人絵師に過ぎない。
洒落本、小咄本に挿し絵を書き散らしているだけではないか。
銀キセルをくわえて、喝采を浴びない自分の絵についてぼんやり考える。
そして往来を眺めてはため息をつく。
写楽にとって、日差しに煌めいた水面は眩しかったことだろう。
なんのこっちゃ
カレーライス食べて帰ろ
日本橋にて。
リュウスケ
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